肉蝮 考
一昨日は、ウツっぽかった。
正直、サークルの連中のテンションの高さにもついていけず、
いい奴ばっかなのに、イラついた。
いい奴で明るくて気配りできてー。
だから目障りってこともあるのよ。
こういうトホホな人間にとってはね。
こういう時は抜きストも見る気がしねえ。
性って、エネルギーのカタマリだろ。
そんな元気ないし、うっとおしいから。
そんな中
「肉蝮伝説」を読んだ。
そして、ウツっ気が飛んでいた。
肉蝮は容貌からして醜悪だ。
そして、暴力的で徹底的な自己中。
「俺の都合を考えろ」が口グセで
開店前の店に押しかけて脅迫して給仕をさせたり、
お祭りで引いたおみくじで大凶が出たことが気にいらないと
慰謝料を請求しながら暴れたり。
暴れ者が主人公の作品は数あれど、
ダークヒーローとも呼びたくないのは
レ○プもやるからだ。
嫌悪の対象でしかない肉蝮だが、
最近は、スピンオフで主人公ともなると
勧善懲悪的に使われ
特にショルダーアタック君は
自分のちまきを潰されたことに腹を立てるという
相変わらずな自己中な理由なのだが
妊婦を突き飛ばしたショルダー君は
肉蝮にぶっとばされて、
どこか爽快感を感じる自分がいる。
この章では、一般市民のショルダー君が
不愉快な悪人に感じられる。
肉蝮という存在は特異すぎるが
ショルダー君はいくらで実在していそうだ。
心理学で専門的になんというのかはわからないが、
人間には圧倒的悪人が優しい(と解釈できる)一面を見せると
なぜか惹きつけられてしまうという
正常とはいえない状態があるようで、
肉蝮は意図してかそうでないかはともかく
それが有効にはたらいて、人気につながっているのだろう。
ヒトラーに大衆がなびいたものと
似通っているかもしれない。
また、
圧倒的な暴力で他者を打ちのめす肉蝮に
そんなことは進んでしたくないけれど
身を守るという意味合いでは欲しい力を感じたり
結局のところ、この男は孤独であるということに
共感できるのだ。共感?優越感かもしれない。
それはお祭りで一人りんご飴を舐めている姿、
もう会わないでくれ、と言われている場面に感じる。
テンプレートな慰めや励ましより
醜悪な肉蝮のストーリーが
自分を引き上げてくれた、という話。
これだけでも、トホホだけど。
